硬膜外血腫〜 epidural hematoma:EDH 〜
硬膜外血腫とは…
■ 症状
■ 画像診断
■ 治療
■ 予後
頭部外傷による頭蓋内出血で、血腫が頭蓋骨と硬膜（外層）の間にできたものを指す。
【出血源】
- 頭蓋骨骨折によって損傷された硬膜の動脈（中硬膜動脈）であることが多い。硬膜静脈洞の破綻もある。
- しばし骨折部の骨から出血も原因となる。
EDHは頭蓋骨骨折を伴うことが多く（90％）、衝撃を受けた側に生じることが多い。
- 主な症状は、頭痛・嘔吐である。
- 意識障害。約半数に意識清明期（lucid interval）がある。
- lucid interval：頭部外傷にひき続いた数時間前後の、意識が鮮明である時期を指す。一過性意識障害は該当しない。
- 瞳孔不同や片麻痺をみることも……
- 除脳硬直や呼吸不整がみられれば、脳ヘルニアが進行していることを示している。
【CT】
- 多くの場合CTで診断できる。
- 90%骨折を伴うので、骨条件の画像も必須。
- 放射線技師さんは、必ず頭部外傷の場合骨条件画像も提供いたしましょう。
- 可能であれば、MPRや3D-CT画像をみてみよう。骨折の範囲がわかりやす等の視覚的把握が容易。
【CT画像の特徴】
密着した頭蓋骨と硬膜の間を剥がしながら血腫ができるため凸レンズ型の高吸収域（HDA）として抽出される。
| EDHのCT画像例 | |
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| ○囲みに硬膜外血腫 | |
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| 拡大画像 | 骨条件 |
注意：受傷直後では血腫はみられない、あるいは少量の場合でも、後に急激に増大する可能性があるため、経過観察は重要である。
【MRI】
頭部外傷の場合、画像検査第一選択肢はCTになります。理由として上げられるのが、検査時間が短いこと・処置がしやすい・金属装着＆体内金属の確認ができない場合もあることなどによります。
よってMRIは、脳挫傷の合併症や少量の出血の場合などに施行する。とくにFLAIRが有効。
- 開頭手術を行い、血腫を除去する。
- 頭蓋内圧亢進症状がなく、意識障害もないか、軽度の場合は、保存的に治療することもある。
- 中硬膜動脈からの出血が血管造影で認められれば、中硬膜動脈の塞栓術(trans-arterial embolization:TAE)を施行することもある。
病変の広がりや程度が影響するが、一般的に外傷性頭蓋内出血の中では予後は最も良い。
しかし、脳ヘルニアが進行し、両側の瞳孔が散大してからでは、手術しても予後不良となることが多い。
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